土曜日, 8月 25, 2007

備忘録(2007.08.25)


本日公共図書館で借りた本
1)行方昭夫『英文の読み方』(岩波新書、2007年5月)

2)賀川洋(文),桑子学(写真)『図説・ニューヨーク都市物語』(河出書房新社、2000年1月)

3)清水勲『図説・漫画の歴史』(河出書房新社、1999年7月)
4)『(手続きだけでお金がもらえる)届出ハンドブック2008年版』(PHP、2007年5月)

(2007.09.02追記)
★行方昭夫『英文の読み方』
・本書は、I(英文に慣れる)、II(正確に読む)、III(筋を読む)、IV(行間を読む)、V(翻訳へのステップ)の5つの章(5つのステップ)にわけて、英文読解及び翻訳の仕方について、著者の持論(翻訳論)が展開されている。
・最近では「使える英語(コミュニケーション英語)」が強調され、多くの識者によって、(従来の)読解力中心の英語教育が批判されるばかりである。しかし、行方氏は、(自分も以前は同様にコミニケーション英語の重要性を強調していたが)現在では、時代の風潮に抗して、読解力及び正確な日本語(日本語らしい表現)に訳せることが大事だと思うようになったということで、本書でもその持論を展開されている。
・本書を「翻訳論」としてみれば、「翻訳論」を出されている多くの識者と同じような主張が多くみられるのは当然のことであるが、英文学に造詣深い行方氏(ヘンリー・ジェームズの研究者かつ訳者)の翻訳例を見ると、異文化の著者の人情の機微を捉えた、しかも日本語らしい訳し方・表現となっており、何度もハットする部分があった。易しくかかれているので、読みやすく、お薦めの一冊である。
・以下、一つだけ備忘録として転記
(We は They の一部:下記のような文章だと They が We の一部だとは気がつかないので誤訳し易い!)
★They★ slept in barns or any place they could find. And, because the season was so short, everybody had to work from sunrise to sunset.
★We★ used to have the best times picking strawberries. There were always a lot of girls there and it was great fun teasing them.
(行方訳)
「(誰もが)物置でも何でも、とにかく見つかった場所で寝るしかなかった。その上、イチゴの季節はとっても短いので、★誰も彼も★日の出から日没まで働かなくてはならなかった。
 でも★僕らは★イチゴを摘んでいて最高に楽しかった。だってさ、畑にはいつだってたくだんの女の子がいて、連中をからかうのがすごく面白かっただもの」(←部分的に違和感のある言葉遣いではあるが、直訳・逐語訳ではなく、このように文章のニュアンスをつかむことは非常に重要であろう。)

日曜日, 8月 19, 2007

備忘録(2007.08.19)


昨日公共図書館で借りた本
1)米原万理『発明マニア』(毎日新聞社、2007年3月)
・私は知らなかったが、米原万理(1950~2006.05)は有名なロシア語の同時通訳者であり、読売文学賞、大宅壮一ノンフィクション賞など、多くの賞を受賞しているとのこと。500ページ近くもあるため、読破するか、面白そうなところだけ読むか、今のところ不明。
2)林望『イギリスはおいしい』(平凡社、1991年3月)
・林望(はやしのぞむ 1949.0~)のこの本は、今日一日で読了。確かこれは、日本エッセイストクラブ賞受賞作
3)『(旅名人ブックス)ギリシヤ・エーゲ海-古代文明を生んだ魅力的な島々』第2版(日経BP、2005年6月)

(8月25日追記)
米原万理『発明マニア』
・500ページ近くあったが読み飛ばすことなく、一応読了。本書は、2003年11月16日から2006年5月21日まで、『サンデー毎日』に118回に渡って連載されたエッセイで、全てのエッセイに著者自身(ただし、名前はARAIYAYOというペンネーム使用)によるイラスト漫画がつけられている。2006年5月25日に自宅の鎌倉で病没(卵巣癌が再発)しているとのことで、118回目(『サンデー毎日』2006年5月21日号)が絶筆となった。
 同時通訳者(ロシア語)という職業柄(いろんな分野にわたって)ボキャブラリーは豊富であり、発想力・想像力がすぐれている。著者はいろいろな発明や創意工夫をすることが大好きだということで、この118本のエッセイは著者の頭にうかんだアイデアを丁寧に縷々説明している。奇抜な視点で面白い発想・アイデアも多かったが、論理的に甘いといわざるを得ないえないものも散見された。1本のエッセイは文章約3ページ+イラスト漫画1ページという分量なので、通勤電車の中で気楽に読むのには適しており、お薦めできる。

火曜日, 8月 14, 2007

備忘録(2007.08.14)


本日公共図書館で借りたもの
1)夏目房之介『これから--50代の居場所』(講談社、2000年12月)
2)金子務(監修),千葉透(文)『図説・アインシュタイン』(河出書房新社、2007年1月/ふくろうの本)
3)(ビデオ)『(歴史紀行ドキュメンタリー)大航海・ヴァスコダ・ガマの海v.4:熱帯西アフリカ』(海工房、1999年)

昨日、浦和駅近くの古本屋(金本書店?)で購入した本
1)小田実『なんでも見てやろう』() 525円
2)林望『イギリスは愉快だ』(平凡社) 105円
林望(りんぼう先生)の本は、たったの105円!

(2207.08.15追記)
夏目房之介『これから--50代の居場所』
・サイズは文庫本を少し大きくしたくらいで持ち易く、装丁はハードカバーで上記の写真が表紙を飾っている。価格が1,400円+税金というのは少し高い(図書館で借りているので価格はどうでも良いかもしれないが、買うとしたら、1,000円を切って980円位にしてほしい)。
 少しだけ引用しておきます。
(p.105)('じいじ'はなぜ甘い)
・(自分の)長男が孫に厳しいので、'じいじ'(=房之介氏)としてはよけい甘くなる。若い頃、妻の父親が孫である長男に甘いのをみて「何だかなァ」と思っていたが、ナゼそうなるか、'じいじ'の立場になってやっとわかった。・・・。(父親は)「泣けばいうことを聞いてくれると思いやがって」と腹が立つのだ。が、じつはこれも若い父親の一種の嫉妬だったりする。まだ無意識に息子と母親(つまり嫁)をとりあっているである。・・・。
(p.214)仕事の緊張、遊びの高揚、南島(バリなど)アホ状態、この三位一体が、今の私の人生だ。
(p.215~)「あとがき」
・なかでも、連載直前に引っ越した仕事場の近くの喫茶店エッグファームズ店主、公平宣彦氏と奥方雅代さんには、とくに感謝の意を表しておきたい。この店は、私の精神衛生上、福利厚生上およびネタ収集上、まことに大きな存在となった。・・・。おかげで足を向けて寝られないが、枕は高くして寝られるのである。

金子務(監修),千葉透(文)『図説・アインシュタイン』
・金子務氏は、アインシュタインの訪日を主題にして『アインシュタイン・ショック』を執筆されているが、本書は写真をメインにした簡略版のようなもの。
・一番ありがたいと思ったのは、ラッセル及びラッセル関係者の写真。前者では土蔵を改造した改造社の建物前の集合写真(ラッセル、ドラ、改造社社長・山本実彦氏、その他)、後者ではA. S. エディントン、桑木或雄、室伏高信、稲垣守克、横関愛造などの貴重な肖像写真。
・お薦めの1冊

土曜日, 8月 11, 2007

備忘録(2007.08.11)


本日地元の公共図書館で借りたもの
1)夏目房之介『孫が読む漱石』(実業之日本社、2006年2月)
2)本城靖久『グランド・ツアー(英国貴族の放蕩就学旅行)』(中央公論社、1983年/中公文庫、1994年11月)
3)小林康夫、舟曳建夫(編)『知のモラル』(東大出版会、1996年)
・これは読むためではなく、調べたいことがあるために借りたもの。
4)ビデオ:「(歴史紀行ドキュメンタリー)大航海:ヴァスコダ・ガマの道」第3巻(北西アフリカ)(海工房、1999年)

1)夏目房之介『孫が読む漱石』
・漫画家・夏目房之介のエッセイであるため、この本も大変読み易いが、今回は「(祖父)漱石の作品を孫が読む」ということで、真剣に対峙した形跡があり、推敲した文章も散見される。漱石は内臓(特に胃腸)が弱く、神経衰弱(あるいは不安症)に苦しんだが、房之介も同じ病にかかっており、その点では孫は祖父に親近感をもっている。父は若い頃ヨーロッパに遊学し、音楽家として60歳まで東京フィル?で活躍し、その後は91歳で死ぬまで遊んで暮らしたとのことであるので、祖父から孫に真面目さが隔世遺伝したのだろうか。
 本書から少し引用してみよう。
(p.24)ちなみに、僕(房之介)は大学卒業後、小さな出版社に勤めながら内緒でフリーライターやマンガ家の仕事をしていて、その得意先が週刊朝日であった。・・・。奇妙な縁で、祖父と僕は朝日新聞社によってモノ書き家業として独立しえたわけなのだ。隔世で(=父は音楽家のため)、人生の岐路にお世話になったのである。
(p.28)40歳前後というのは、僕にとっても心身の変化にとまどった、かなりつらい時期だった。手塚治虫論をきっかけに、今のマンガ論の仕事に没頭したのは40歳代始めで、週刊朝日のような80年代面白主義的な仕事から、商売として成り立つ読者市場などなかった本格的なマンガ批評に踏み込むのは勇気がいった。
(p.30)漱石が小説を書いたのは49歳で死ぬまでのわずか10年ほどであった。まるで生き急ぐかのように小説を書き、胃潰瘍で何度も倒れ、ついに未刊の『明暗』を遺してばたりと逝く。かっこいいといえば言えるけど、見習いたくない。彼(祖父)の苦労を取り戻すかのように、(少なくとも周囲から見れば)気楽に生きた父は、91歳で大往生した。
(p.40)没後の印税でうるおった夏目家だったが、じつは昔の著作権法では著作権保護期間は本人の死後30年だった。つまり漱石の著作権は昭和21年できれる。
(p.41-42)著作権の保護は、一面で文化創造を奨励する作家保護政策だが、他方、無制限な権利濫用を認めるものでない。創造された文化は社会に共有されて意味を持つ。・・・。が、えてして法律に強くない遺族が、急に感情的に必要以上の権利を主張することがある。・・・。「もし死後50年だったら、孫も恩恵を受けたのにね」とよく冗談を言われる。僕も「そうなんだよなあ」とかいいながら、本当は美田がなくてよかったと思っている。戦後の社会、家長制消えた世の中で漱石の遺産が長く生きていたら、親族間でどれほど醜いことになっていたが、考えるだけでうんざりする。
(p.104)(『我輩は猫である』は)何しろ、近代日本国家を双肩に担った大知識人が、神経衰弱のリハビリに書いた小説だけに、冗談も教養のダジャレなら、近代百年の構造的未来予測のご高説も冗談となって織り込んである。油断ならないのである。

(2007.08.14追記)
本城靖久『グランド・ツアー(英国貴族の放蕩就学旅行)』
・この本も読みやすく、興味深く読めた。何でも、サントリー学芸賞とかいうのを受賞しているらしい。
・英国貴族の青年を国際人にするためにヨーロッパ大陸(主にフランスとイタリア)に遊学させたのは18世紀英国のことであるが、大学が充実するにつれて、このような慣行はなくなっtいった。従ってラッセルの場合は、グランド・ツアーではないが、ケンブリッジ大学を卒業してすぐに、妻アリスを伴ってドイツのベルリン大学に留学するとともに、イタリアには毎年旅行するようになった。この本は、英国貴族を理解するためには、有益だろう。
(p.189)(ヨーロッパ人とアルプス)18世紀の中葉になるまでは、高い峰がつらなり断崖絶壁のそそり立つアルプスの山々というものは、ヨーロッパ人にとっては、恐怖と嫌悪の対象でしかなかった。・・・。ところが、自然賛美を説くルソーの著書が次々とペストセラーになるや、ヨーロッパの上流階級の自然観、美意識に変化が生じた。ルソーの影響力により、ヨーロッパ人はにわかに自然の美にめざめ、自然の美を鑑賞するようになりだしたのである。そこで18世紀の中葉以降、アルプスの高峰や氷河も観光の対象となるようになり、イタリアに行くのにも、アルプス越えの道を選ぶ人が増えてきた。・・・。

土曜日, 8月 04, 2007

備忘録(2007.08.04)


本日公共図書館で借りたもの
1)夏目房之介『おじさん入門』(イースト・プレス、2005年8月)
2)夏目房之介『青春マンガ列伝』(マガジンハウス、1997年10月)
3)夏目房之介『風雲マンガ列伝-いま読むマンガ116冊』(小学館、2000年1月)

 今回は、子供時代の「読書」遍歴の漫画版を回顧してみようと思い、借用。小学校の頃は、近くの貸し本屋で漫画を中心に毎日2冊借りていた記憶があるが、どれだけ記憶にあるか・・・?

『青春マンガ列伝』
 さすが漫画家になった人だけあって、私の知らない漫画を青春時代にたくさん読んでいる。この本に上げられた漫画あるいは漫画家のなかで私が知っているのは、下記のように、20%以下である。
・石ノ森章太郎『怪傑ハリマオ』、手塚治虫の作品群、さいとうたかを『ゴルゴ13』、白土三平『サスケ』、水木しげるの作品、東海林さだおの作品、谷岡ヤスジの作品、山上たつひこ『がきデカ』、鴨川つばめ『マカロニほうれん荘』
・特に『マカロニほうれん荘』は傑作だと思ったが、少し上の世代は面白く思えないそうであるがどうだろうか?

『おじさん入門』
・著者は1950年生まれだが、年の近い人にはお薦めの一冊。といってもたいしたことが書いてあるわけではない。人気漫画家なので、1つのエッセイに1葉のマンガが描かれているが、これが秀逸。エッセイは肩肘はらずに書かれており、気楽によめる。