土曜日, 6月 30, 2007

備忘録(2007.06.30)


本日公共図書館で借りた本

1)吉見俊哉『新米と反米-戦後日本の政治的無意識』(岩波新書)
*随分前に吉見氏の『博覧会の政治学』を読んだことがある。当時は東大社会情報研究所の助教授だったが、今では(社会情報研究所の後身の)情報学環の学環長をされている。多分この本も面白いだろうと予想している。

2)川本三郎『図説・永井荷風』(ふくろうの本/河出書房新社)
3)桑原茂夫『図説・不思議の国のアリス』(同上)
4)藤野紀男『図説・マザーグース』(同上)
5)松島道也『図説・ギリシア神話-神々の世界篇』(同上)6)松島道也『図説・ギリシア神話-英雄たちの世界篇』(同上)7)巌谷國士『図説・ギリシア歴史・神話紀行』(同上)

土曜日, 6月 16, 2007

安倍晋三『美しい国へ』


 いつも同じようなことばかり、綺麗ごとばかり言っている、といった印象があtったため、この本(『美しい国へ』)も気に入らないことがいっぱい書いてあるだろうと予想していたが、余り抵抗なく読了することができた(きょう1日で読み通した)。
 ただし、一見気の利いたことを書いているつもりかも知れないが、美辞麗句がならんでいて、深さは余り感じられない。(この本は、図書館で借りたものであるが、30人くらいの予約者がいてようやく借りることができたものであるが、女性が気に入りそうな書き方が随所にしてあるように感じた。奥さんのアドバイスをかなり受けているのではないだろうか。)
 少し気になった記述を少しだけあげておく。
1)(p.17)アメリカには、封建制度の歴史がない。生まれながらにして平等な社会が原則であり、その制度や権力は、新大陸に渡ったピューリタンたち個々人の合意のうえでつくられた。だから自由主義と民主主義が対立することなく共存できた。
→ アメリカ国民たる黒人に公民権が認められたのは、そんなに昔のことではない。最近ではヒスパニック住民が4,000万人ほどに近くなっており、「生まれながらにして平等な社会」というのは言い過ぎであろう。
2)(p.25)たしかに軍部の独走は事実であり、もっとも大きな責任は時の指導者である。だが、昭和17,18年の新聞には「断固戦うべし」という活字が躍っている。列強がアフリカ、アジアの植民地を既得権化するなか、マスコミを含め★民意の多くは軍部を支持していたのではないか。
→ 正確かつ詳細な情報が、国やマスコミによって国民に提供されていたのなら、国民にも大きな責任がある。しかし、そうではない以上、(国民の責任も少なくないとしても)わざわざ「民意の多くは軍部を支持していた」などと書くことは、責任の所在をあやふやにするものであろう。
3)(p25)(父の安倍晋太郎から、自分の秘書に生るように言われた時に、安倍晋三が父に言った言葉)「わたしにも会社(神戸製鋼?)があります。これでも年間数十億ぐらいの仕事はしているんです。」(←これは、総理大臣をめざす安倍氏のイメージアップのための宣伝文か? 会社時代の安倍氏は、「箸にも棒にも掛かからなかった」と元の同僚が言っているのを週刊誌かなんかで読んだ記憶があるが、果たして中傷か?)
4)(p.61)明治以後の日本は、西欧列強がアフリカやアジアの植民地分割をはじめているなかにあって、統治する方に回るか、統治されるほうになるのか、という二者択一を迫られていた。」
→ 第3の道はないというのか?
5)(p.131)「このことが何を意味するかというと、たとえば、日本の周辺国有事のさいに出動した米軍の兵士が、公海上で遭難し、自衛隊がかれらの救助にあたっているとき、敵から攻撃を受けたら、自衛隊はその場を立ち去らなければならいないのである。たとえその米兵が邦人救助の任務にあたっていたとしてもである。」
→ 非常に無理な状況設定をしている。
6)(p.150)「たとえば、日本は過去の歴史の過ちについて中国に謝罪していないのではないか、とよく言われるが、本当のところは、正式に20回以上の謝罪をしている。」
→  そのような正式な謝罪した直後において、★閣僚が★、その倍以上の回数の不適切な発言をしても、個人の意見として処分をしないようであれば、「正式な」謝罪も言葉だけのものと受け取られても無理はないのではないか?
7)(p.155)日本人は、昔から道徳を重んじてきた民族である。儒教から礼節を学び、仏教の禅から自らを律する精神を、そして神道からは祖先を尊崇し、自然を畏怖するこころを学んできた。寛容な心は、日本人の特質のひとつである。
→ もっと歴史(日本史と世界史)を詳細に学んでもらいたい。

備忘録(2007.06.16)


本日公共図書館で借りたもの
1)藤原正彦『若き数学者のアメリカ』
*日本エッセイストクラブ賞受賞作。藤原氏のエッセイを読むのは、これで3冊目
2)小林章夫『図説ロンドン都市物語-パブとコーヒーハウス』
3)シャロックホームズ全集v.20『独身の貴族』
4)「火曜サスペンス劇場-主題歌集DX」
+『天皇と東大(下巻)』(読了できず延長手続き)

日曜日, 6月 10, 2007

備忘録(2007.06.10)


昨日公共図書館で借りた本

1)藤原正彦『心は孤独な数学者』〔新潮社、1997年)
* 藤原正彦氏(数学者、御茶ノ水女子大学教授)の本を読むのは、『遥かなるケンブリッジ』に続いて2冊目。たまに文法的におかしい日本語が散見されるが、それ以外は流暢で読み易い。名文家と言ってよいだろう。この本は、ニュートン、ハミルトン(ウィリアム・ハミルトン)、ラマヌジャンの3人の著名な数学者に関するエッセイであるが、ニュートンとラマヌジャンのみを読むことにした。昨日ニュートンを読み、本日ラマヌジャンのところを読了したところであるが、大変興味深かった。バートランド・ラッセルにふれたところだけを以下引用しておく。(pp.124-125 & 200)

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 ・・・。ラマヌジャンの手紙をリトルウッドと検討し終えた瞬間から、ハーディは興奮状態に陥った。一夜明けると早速、ロンドンのインド省へ手紙を書き、この大天才をケンブリッジヘ招聘する方法があるか、打診した。インド省の役人は直ちにマドラスの学生援護局に手紙を書き、この若き天才の照会を求めた。ハーディは会う人ごとに、ラマヌジャンがいかにすごいかを喧伝し、その手紙を見せて歩いた。その狂躁ぶりは、内気で控えめな人柄と、「周囲の人が凡庸に見えてしまうほど」と評された華々しい知性で聞こえたハーディのことだけに、ケンブリッジにセンセイションを巻き起こしたという。
 哲学者のバートランド・ラッセルも、その頃に書かれたモレル夫人への手紙の中でこう触れている。
「トリニティのホールで、ハーディとリトルウッドに会いました。手放しの興奮ぶりでした。第二のニュートンを発見したからです。インド人で、年収二十ポンドばかりの、マドラスの一事務員なのだそうです。ハーディはすぐにインド省に手紙を書きました。直ちにその男をここに連れてきたい、と願っているようです。今のところまだ秘密になっていますが、つられて私まで興奮してしまいました。(pp.124-125)」

「さらにハーディは多忙を極めていた。このころ反戦運動を展開していたバートランド・ラッセルに対し、講義資格剥奪をトリニティが決定するという「ラッセル事件」が起こった。正義感の強いハーディは、精力的に当局を糾弾していたのである。トリニティは、戦争のおかげで、とげとげしい雰囲気に包まれていた。(p.200)」
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2)安倍晋三『美しい国へ』(文春新書)
・安部首相が官房長官時代に出版したもの。首相が出す本は、ほぼすべてにゴーストライターがいる。もちろん当の首相の考えを理解した上で膨らませ、本人に読んで確認してもらった上でのことであるから悪くはないであろうが、自分が独力で考えたことがないものも含まれるため、後から矛盾が出てくることもある。安倍首相が官房長官の時に書いたこの本は自分がすべて書き下ろしたものであろうか? それとも自民党総裁及び総理大臣指名を争うために、急遽出版したものであろうか?
 安倍首相の基本的な考え方は常日頃間違っていると思っているが、これまでまとまった考えを聞いたことがない。国民受けばかりを考えて発言しており気に入らないので、購入して読む気にはならないが、今度借りてみた。数十人の予約者がおり、ようやく回ってきたしだいである。来週土曜日の読書会が終わった後、読むことにしたい。

日曜日, 6月 03, 2007

備忘録(2007.06.03)


昨日公共図書館で借りたもの

1)立花隆『天皇と東大(下巻)-大日本帝国の生と死』(文芸春秋社)
* 800ページ近い上巻を読み終えたため、下巻も借用
2)『84歳。英語、イギリスひとり旅』(小学館)
* 文字が大きいので昨日1日で読了
3)シャーロックホームズ全集v.13『ソア橋の怪事件/フランシス・カーファックス姫の失踪』
4) 同上v.18『恐喝王ミルヴァートン』
5) 同上v.19『サセックスの吸血鬼』