ラッセルの『自叙伝』の続きです。
ウィトゲンシュタインが、夜遅く、ケンブリッジ大学のラッセルの居室を、野獣のように歩き回る、有名なシーンです。
http://russell.cool.ne.jp/beginner/AB22-070.HTM
彼は、毎晩のように深夜、私に会いにやってきて、興奮しているが何も言わず、野獣のように、3時間、部屋の中を行ったり来たりした。ある時私は彼にこう言った。「あなたは、論理学について考えているのか、それとも自分自身の罪について考えているのか?」「両方です」と彼は答えた。そうして、彼はなおも行ったり来たりした。私は彼にもう就寝する時間だと言いたくなかった。というのは、私のそばを離れると、彼は'自殺'するかもしれないと、私にも彼にも、思われたからである。トリニティ・カレッジに来てからの最初の学期の終わりに、彼は私のところにやって来てこう言った。「あなたは、私のことをまったくの'馬鹿'だと考えていますか?」 私は答えた。「どうしてあなたはそのようなことを知りたがるのですか?」 彼は答えた。「もしそうだとしたら、私は飛行士になります。もしそうでなかったら哲学者になります。」 そこで私は彼にこう言った。「そうですねえ、あなたがまったくの馬鹿かどうか、私にはわかりません。しかし、もしあなたが休暇中に、あなたが興味を持つ哲学上の問題について論文を書いてくれたら、それを読み、あなたが馬鹿かどうかをあなたに言いましょう。」 彼はその通りにした。そしてその論文を次の学期の初めに私のところにもって来た。私はその'最初の一文'を読むや否や彼が'天才'であることを確信するにいたった。そして、彼はどんなことがあっても飛行士になるべきではないと納得させた。( He used to come to see me every evening at midnight, and pace up and down my room like a wild beast for three hours in agitatated silence. Once I said to him: 'Are you thinking about logic or about your sins? 'Both', he replied, and continued his pacing. I did not like to suggest that it was time for bed, as it seemed probable both to him and me that on leaving me he would commit suicide. At the end of his frrst term at Trinity, he came to me and said: 'Do you think I am an absolute idiot?' I said : 'Why do you want to know?' He replied : 'Because if I am I shall become an aeronaut, but if I am not I shall become a philosopher.' I said to him: 'My dear fellow, I don't know whether you are an absolute idiot or not, but if you will write me an essay during the vacation upon any philosophical topic that interests you. I will read it and tell you.' He did so, and brought it to me at the beginning of the next term. As soon as I read the first sentence, I became persuaded that he was a man of genius, and assured him that he should on no account become an aeronaut.)
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